昨晩は、ラッキーに会っていた。 ラッキーは、僕が子供のころにやってきた雑種犬だ。 「子犬が生まれ、飼い主となってくる人を探している」 そんなチラシを、母親地元のスーパーで見つけたのがきっかけだ。 夜、車に乗って母犬のいる家まで向かったのを覚え…
鬼束ちひろは、ちいさかった。 彼女の詩は、自分の肉を切って、そこから流れ落ちる血で書き殴ったような言葉ばかりで、いつもしんどい。 そのしんどさが、痛くて、いつも救われていた。 なので、神格化、というと少し大げさかもしれないけれど、自分より大き…
昨日、自分が何をしていたか。 もう、全然、思い出せない。 あ、コンビニ、たしかセブンイレブンに行った気がする。 あ、駅前でばんごはんを食べたはず。 そんな、おぼろげな記憶は、まるで夢のようで。 なんて、ちょっとロマンティクに言いくるめたけれど、…
メガネを、丸メガネに変えた。 □-□ から、○-○ へ。 髪型は、少し前から七三分けになっている。 「今シーズンのテーマは、業界人なんです」と伝えたら、「どこの業界?」と聞かれた。 たしかに、どこだろう。 出版やらテレビやら、様々な業界を思い浮かべると…
ああ、めんどくさいぞ、料理。 素材を集めて、分量を計って、火加減を調整して。 いわゆる料理上手な人ほど、迷いなくパッパッパッと手が動いていく。 プロセスを覚えているのではなく、「これとこれをこうしたら、こういう出来上がりになる」という料理の勘…
いつもは読んだ本の話ばかりだけど、今夜は、これから読む本の話。 今日、手元に『ティール組織』が届いた。 手に持ってみると、その分厚さ、重さを改めて実感する。 版元である英治出版の本は、ビジネス書、と括ることはできるだろう。 本書も、そうだ。 し…
14年前に失踪していた娘が、地中に埋められた遺体となって帰ってきた。 妻を亡くし、ガンに体を蝕まれながらも、父はほんのわずかな手がかりにすがりつきながら犯人に迫っていく。 ストーリーを福本伸行、作画をかわぐちかいじが手がける本作。 両者を知って…
長野県は、そばがうまい。 当たり前すぎて通説のように感じ取っていたけれど、実際に長野に来てそばを食べてみると、本当にうまいのだからしょうがない。 味はもちろん、そこかしこにそば屋があるものだから、自然とズルズル音を立ててそばをすするのが日常…
ほそぼそと、でも地味に頑張りながら続けてきた、柏屋漫画部。 詳細は上記リンク先に譲るけれど、簡単に言ってしまえば、ゆるゆると持ち込んだ漫画についてあれこれ語り合うお気軽イベント。 毎回、イベントの前にはささやかなラジオ収録もし、公開している…
以前、小説の面白さを知ったのは川上弘美だと書いた。 その川上弘美を知ったのは、高校生の時の国語の教科書だった。 授業中、教壇に立つ先生の言葉を聞き流しながら、退屈しのぎにめくっていた教科書。 そこに、川上弘美の短編『神様』が載っていた。 神様 …
子供のころには一大イベントだった、”新幹線”。 社会人として働くようになるにつれ、そのワクワク感は次第に薄れ、ちょっと味気ない”長距離移動”に変わってしまった。 特に、上田に越してきたことで、新幹線の移動は日常のひとつとして組み込まれるようにな…
「絶対に儲かりますよ」 なんて話を持ちかけられると、そんないい話をどうして自分なんかに教えてくれるんだ、と訝しんでしまう。 まったく、うまいことばかり言うんだから。 でも、ついついそのあとに続けてしまう。 「ちなみに、どんな話なの?」 そんなち…
気がつけば、夏が傍らまできていた。 夜。心地よい風が、半袖から伸びた腕をさらりと撫でていく。 何をするでもなく、ぼうっと呼吸をくりかえす。 おだやかな空気は、それだけで「今は、何もしなくていいんだよ」と無為に過ごす自分を肯定してくれている気が…
今日もまた、500円を握りしめ山中の温泉にやってきた。 広々とした露天風呂、オリジナルの珈琲、ピザ窯も備えた美味しいレストラン。 もう身も心もぐでんぐでんに溶けきって、ほてった体で幸せを噛み締めていた。 僕が温泉や銭湯を楽しめるようになったのは…
小説っておもしろい、と思ったのは、川上弘美がきっかけだった。 日常から少しだけずれた不思議な世界を、とても平易な言葉で紡いでいく。 やわらかく、のびやかで、すっと胸に染み込んでくる。 時折、そこには小瓶に入った毒も混ざっていて、するすると自分…
上田に越してきてから、軽井沢がぐぐぐっと近くなった。物理的な距離はもちろん、車移動が基本となったおかげで、ふらりと訪問しやすい。 家から1時間もしないうちに、涼しやかな避暑地が現れる。改めて考えてみると、本当に贅沢な話だなぁ。 軽井沢には、…
今現在、とにかく続刊が待ち遠しく、発売日にはすぐにページをめくり終わってしまう漫画。 その1つは、『亜人』だと声を大にして言いたい。 突然変異なのか、突如社会に現れた「死なない人間」、亜人。物語は、不意の事故から自身が亜人だと知った主人公、…
「どこかに行こう」と思うことは多々あれど、その度に「さて、どこに行こう」と考え込んでしまう。 美味しい食べ物やら、常々訪問したいと思っていた本屋やら、いろいろポイントはあるけれど、なかなか踏ん切りがつかない。 そんな時はいつも、泊まりたい宿…
昨日紹介したのは、「果てしてこれが囲碁漫画と呼べるのだろうか」という一品だった。 そうなると、今度は「果てしてこれがサッカー漫画と呼べるのだろうか」という本作をズズズッとおすすめしたくなる。 僕の周りには、サッカー好きが多い。テレビ観戦はも…
いち囲碁好きとして日々悩んでいるのは、「どうすればみんなに囲碁を面白がってもらえるんだろう」ということ。 格子状の木の板の上に、白と黒の石をパチリと置いていく。ルールを知らなければ、ナンノコッチャである。 なので、細かい遊び方はわきにうっち…
「ドラえもんの道具で何がほしいか」と問われたら、なんて答えるだろう。 "ほんやくコンニャク"やら"ビッグライト"やらいろいろあるけれど、まぁやっぱり、「どこでもドア」なのかな。我ながら、つまらない答えだなぁ。 どこでもドアのいいところは、そのシ…
ひょんなことから我が家にやってきた猫は、先月1歳を迎えた。 そろそろ一人前か、といった頃合いのはずだけど、やたらと甘えん坊のままだ。子猫のように人の指をなめ、毎朝家を出る時にはひたすら鳴き続け、夜にはごそごそと布団に潜り込んでくる。 もちろん…
NHKの「ノーナレ」という番組がある。ナレーションを一切排し、淡々と被写体の日々が描かれるドキュメンタリーだ。 先日、たまたまチャンネルを回すと、猟師の千松信也さんが取り上げられていた。 ワナ猟師、千松信也。彼は生活の一部として、動植物を獲り、…
『ReBuild New Culture』 最近、僕の周りで会社案内に値段をつけて、"売り物"として手渡すところが増えている。 正直、僕はその流れに、おおいに賛同している。 会社案内を販売しようなんてたくらむ会社は、自然とものづくりを生業としていることが多い。そ…
さて、GWである。 ワーカーホリック気味な日本人も、ここぞとばかりに方々に足を伸ばし、逆に、ここぞとばかりに我が家でごろごろと寝転がったりする、そんなちょっと特別なひととき。 僕も、旅行にいく。 渋滞やら人混みやらを考えると、「GWに旅行」という…
『目であるく、かたちをきく、さわってみる。』 会社のとある企画で久しぶりに手に取った本書。改めてぱらりぱらりとめくってみたのだけれど、やっぱり、しみじみ素敵な1冊でした。 著者のマーシャ・ブラウン、「あの『三びきのやぎのがらがらどん』の作者…
上田映劇での公開最終日に、「骨と禅」を観てしまった。 嗚呼、困ったもんだ。 「観たいんです」と事前に周りに話すと、「感想待ってるね」と口々に言われる。そういう映画なのだ。 背後霊のようにプレッシャーを抱えながら観てみると、案の定、取り扱いに閉…
時々立ち寄る、お弁当屋さんがある。職場から歩いて数分のところにあるのだが、途中、珍しく竹が生えているエリアがある。ある日、いつものようにその脇を通り過ぎようとした時に、気になった。 「竹って、木なのか、草なのか」 これを考えるためには、まず…