ナインブックス

本にまつわることを、よく書く(はず)。

六月七日のこと

昨日、自分が何をしていたか。

もう、全然、思い出せない。

 

あ、コンビニ、たしかセブンイレブンに行った気がする。

あ、駅前でばんごはんを食べたはず。

 

そんな、おぼろげな記憶は、まるで夢のようで。

 

なんて、ちょっとロマンティクに言いくるめたけれど、本当はほわほわした記憶力しかないという話だ。

 

読んだ本の内容も、すぐ忘れてしまう。

推理小説は、2回目だってドキドキしながら読める。

 

「こ、こいつが犯人だったとは!」

「そういえば、そうだった気もする」

 

再生可能、エコな脳みそだ。

大丈夫、僕がいくら忘れようとも、本はきちんと文字の連なりを腹の中に抱えてくれる。

 

ただ、残念なことに、昨日は読み返すことができない。

すれ違うだけで、もう再会することもできず、昨日の残り香にただくんくんと鼻を震わせながら今日を過ごしている。